甘食と苺と牛乳と。
甘食はふわっと軽くてほろっと崩れるカステラのようなビスケットのような素朴な焼き菓子。
焼き上げた翌日に頬ばるのだ。
卵とはちみつとほんのりバターの香りがする。
甘食の生地は水分を要求するから牛乳を飲んでみたり、熟した苺をつまんでみたり。
牛乳と甘食が混じり合う、その瞬間がまたいい。
ちょっとした違いかもしれない。
味に大差も付かない。
けれど、卵白を泡立ててから加える。
この一手間がより優しく丁寧な味わいに繋がっていくことを実感する。
一方で、メレンゲ(泡立て卵白)をつくるのが面倒に思ったり、とにかく作製時間を短くしたい時は、メレンゲの材料(卵白とグラニュー糖)を卵液に加えてざっと作る。
その方法もいい。
気張る必要がないし、ぱぱっと手短に済ませられる。
今回はグラニュー糖を用いて、上白糖より軽くあっさりとした甘さに仕立てた。
ラードを加えるのはより手軽にふんわり食感を演出するため。
焼き上がりより半日から一日置くと味がなじんでしっとりとしておいしくなる。
【甘食(あましょく) はちみつ&メレンゲ入り。ふわっと軽くほろっと崩れるver. レシピ】
薄力粉200g 直径約8cm 高さ3.5cm 重さ一つ約47g 8個分
材料:
粉類:
・薄力粉 200g
・ベーキングパウダー 8g
卵液:
・卵黄 2個分(約40g)
・牛乳 (卵黄を合わせて) 90g
・はちみつ 10g
・グラニュー糖 50g
・重曹 1g
・水(重曹用)1g
油脂:
・バター 16g
・ラード 20g
メレンゲ:(口が小さくて、深めのボウル・容器があると便利)
・卵白 60g
・グラニュー糖 10g
切り込み用:
・サラダ油 適量
【下準備】
・直径1.3cmの金口を絞り袋にセットしておく。
・天板にオーブンシートを敷いておく。
・湯煎の準備をする。小鍋に水を入れ、50℃まで温めておく。
・粉類は合わせてふるっておく。さらに泡立て器でぐるぐる混ぜておく。
・重曹は水に溶いておく。
・メレンゲを作るために、ハンドミキサーの準備をしておく。
・生地の切り込み用に先の鋭いナイフ・包丁を用意しておく。
・バターはやわらかいクリーム状にしておく。電子レンジ150wで30秒ほど加熱した後、ゴムべらで練るとすぐに出来上がる。
・オーブンの温度を220℃にセットし、予熱開始しておく。
【作り方】
1.ボウルに粉類を合わせてふるっておく。
2.別のボウルに卵黄、牛乳、はちみつを入れて混ぜ、そこへグラニュー糖を加えて泡立て器で混ぜたら、湯煎にかけて砂糖を完全に溶かす。溶けたら湯煎から外し、水で溶かした重曹を加え、1~2分置いて冷ましておく
。
3.メレンゲを作る。卵白にグラニュー糖を加え、ハンドミキサーで角が立つまで泡立てる
4.生地の材料をあわせていく。まず、2.で冷ましておいた卵液にやわらかくしたバター等の油脂を加えて泡立て器でよく混ぜ合わせる。
5.卵液を粉類に流し入れ、ゴムべらで混ぜ合わせる。
6.メレンゲを3~4回に分けて生地に加え、全体をなじませていく。このとき生地になめらかさと艶が出ていることを確認する。
7.絞り袋に生地を詰め、ベーキングシートの上に直径6cmほどのドーム型に絞っていく。垂直に山形に絞ることで、甘食らしい形に焼ける。焼成中に膨らむので、充分に間隔を開けて絞り出すこと。生地の形が崩れる前に、あるいは絞り出したら直ぐにオーブンに入れて焼きたいのでそれまでにオーブン予熱を完了しておく。
8.絞り出した生地の上部中央にサラダ油を塗ったナイフで切り込みを入れる。生地の側面に油が垂れてはいけない。油がつくとその部分が焼成中に割れてしまう。予熱が完了してから切り込みを入れるのは、焼成前の生
地が油を吸うのを防ぐため。
9.200℃のオーブンで12分、焼き色がつくまで焼く。焼きムラを防ぐため、残り約5分で天板の向きを変える。
10.オーブンから取り出し、網の上で冷ます。粗熱が取れた後、袋に入れて保存する。半日~翌日まで置いた方が味がなじんでおいしい。
メモ:
・ベーキングパウダーは縦に膨らむ作用があり、重曹は横に膨らむ作用がある。
・重曹を加えると、焼き上がりが黄金色に色づく。甘食の見た目がいかにも卵たっぷり入っていそうな色をしているのは、重曹のおかげである。ベーキングパウダーだけだど、もっと白っぽい仕上がりになる。
・重曹は混ざりにくいので、水に溶かしてから生地に加えるようにする。
・絞るときは、垂直方向に約1cmくらいの高さから絞り始め、次第に3cmほどの高さに上げてく
・ナイフは尖ったバタースプレッドナイフ、包丁、ハサミ等を使うが、先の細く鋭利な包丁がおすすめ。
・切り込みは鋭利なナイフで縦に深く、横に小さい方がいい。切りこみ線が横に長い(大きい)と生地が横に割れて(または横に広がって)高さが出なくなってしまう。深さは1cmほど。側面に油がたれないようにすると
うまくできる。